近年、ゲーム依存症が社会問題として注目されています。特に中学生を含む若年層でのゲーム依存が増加しており、学業や生活に支障をきたすケースも少なくありません。そのため、専門の医療機関で適切な治療を受けることが重要です。
埼玉県にはゲーム依存症に対応した病院や相談窓口がいくつか存在し、早期治療を行うことで回復の可能性を高めることができます。また、更生施設や依存症専門医療機関を活用することで、本人だけでなく家族も支えながら依存克服に向かうことが可能です。

ゲーム依存症とは?
病院での治療に中学生が増えている
ゲーム依存症とは、ゲームをやめたくてもやめられず、日常生活に支障をきたす状態を指します。WHO(世界保健機関)は2019年に「ゲーム障害(Gaming Disorder)」を国際疾病として認定し、正式な病気として治療対象になりました。特に中学生の間でゲーム依存が増加しており、学業不振や昼夜逆転、家族とのトラブルにつながるケースが多く報告されています。
中学生にゲーム依存が増えている理由
中学生がゲーム依存に陥る理由はいくつかあります。
- 自由時間が増える:小学生と比べて親の管理が緩くなり、自由に使える時間が増えるため、ゲームに没頭しやすくなります。
- オンラインゲームの影響:多くのオンラインゲームは、対戦や協力プレイを通じて友達とつながる手段になります。しかし、「やめると仲間に迷惑がかかる」「イベントに参加しないと遅れる」といった心理的な圧力が働き、長時間プレイにつながることがあります。
- ストレスの発散手段になる:学校生活や家庭でのストレスから逃れるために、ゲームの世界に没頭してしまうこともあります。
たとえば、ある中学生のケースでは、最初は友達と遊ぶためにゲームを始めたものの、次第に夜遅くまでプレイするようになり、気づけば学校を休みがちになってしまったという事例があります。
ゲーム依存症のサインとは?
以下のような兆候が見られたら、ゲーム依存症の可能性があります。
- ゲームをしていないと落ち着かず、イライラする
- 約束の時間を過ぎてもやめられない
- 学校の成績が急激に落ちた
- 昼夜逆転し、朝起きられなくなる
- 家族や友人との会話が減り、部屋にこもることが増えた
特に「やめなさい」と言われて怒る、隠れてゲームをする、食事や入浴も忘れてプレイするといった行動がある場合は、専門機関に相談することをおすすめします。
ゲーム依存は本人の意志だけで克服するのが難しいため、適切な治療やサポートが必要です。では、埼玉県でゲーム依存症の治療ができる病院について詳しく見ていきましょう。


「相談するのは大げさ?」と迷う保護者へ
「たかがゲーム、相談するのは大げさでは?」と思うかもしれません。しかし、ゲーム依存症は早期の対応が重要です。
私自身も、息子たちがゲームに没頭していたとき、「相談するのは親としての負けでは?」と考えたことがありました。 でも、誰かに話を聞いてもらうことで気持ちが整理できたり、新しい視点が得られたりすることもあります。
専門の相談窓口を活用することで、今の状況に合った対応策が見えてくることもあります。「こんなこと相談していいのかな?」と思わず、気軽に問い合わせてみることをおすすめします。
ギャンブル依存症の治療」と聞くとハードルが高いと感じる方へ
「ギャンブル依存症」という言葉を聞くと、「うちの子には関係ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、最近の研究では、ゲーム依存とギャンブル依存は非常に近いメカニズムを持っており、同じ治療方法が効果的な場合も多いことが分かっています。
特に、以下のような行動が見られる場合は、早めに相談することで、依存が深刻化する前に対策を取ることが可能です。
- スマホゲームの課金額が急に増えた
- 生活費やお小遣いをゲームにすべて使ってしまう
- 勝つまでやめられない、負けたら「次こそは」と思う
- ゲームのために嘘をついたり、お金を隠して使ったりする
「ちょっと気になるな」と思ったら、早めに病院や相談窓口に問い合わせてみてください。
ギャンブル依存症の治療が可能な病院では、ゲーム依存症に対する専門的なサポートも受けられることが多いです。 特に「課金依存」や「ゲーム内イベントに振り回される」といった傾向がある場合、専門機関での診断を受けることで、親子ともに対策を学ぶことができます。
ゲーム依存症の更生施設とは?【埼玉版】
ゲーム依存症が深刻化し、日常生活や学業に大きな影響を及ぼしている場合、専門の更生施設(リハビリ施設)を利用するという選択肢もあります。
「更生施設」と聞くと、アルコールや薬物依存の人が利用する場所というイメージがあるかもしれません。しかし、近年ではゲーム依存症やスマホ依存症の回復を目的とした専門施設も増えており、埼玉県内や近隣エリアでも利用できる施設があります。
ゲーム依存症の更生施設とは?
ゲーム依存症の更生施設では、以下のようなプログラムを通じて、ゲームに依存しない生活リズムを取り戻す支援を行います。
- デジタルデトックス(一定期間、ゲームやスマホから離れる)
- 認知行動療法(CBT)(ゲームの衝動をコントロールする方法を学ぶ)
- 集団生活プログラム(生活リズムを整え、コミュニケーション能力を向上させる)
- 運動療法やアートセラピー(ゲーム以外の楽しみを見つける)
- 家族支援プログラム(親子の関係を見直し、依存を防ぐ対策を学ぶ)
このようなプログラムを通じて、ゲームに頼らずとも自分で時間を管理し、健康的な生活を送るスキルを身につけることが目的です。
埼玉県内で利用できるゲーム依存症の更生施設
1. 国立病院機構 久里浜医療センター(神奈川県・埼玉県からも通院可能)
- 所在地:神奈川県横須賀市野比5-3-1
- 特徴:日本で初めて「ネット・ゲーム依存症専門外来」を開設した病院。入院治療やデジタルデトックスプログラムも提供。
- 対象:ゲーム依存症・スマホ依存症・ギャンブル依存症など
- ポイント:埼玉県内には完全な更生施設は少ないため、近隣の専門病院として利用可能
2. 埼玉県立精神医療センター(伊奈町)
- 所在地:埼玉県北足立郡伊奈町小室818-2
- 特徴:ゲーム依存症の相談・治療を実施。外来治療が中心だが、症状が重い場合には入院治療の相談も可能。
3. 自立支援センター(埼玉県内の青少年向け支援施設)
- 特徴:ゲーム依存や不登校の子どもを対象に、生活リズムの改善や社会復帰支援を行う施設。
- 対象:10代~20代の若者が中心
- ポイント:強制的な入院ではなく、本人が前向きに回復を目指すための支援が受けられる
4. NPO法人による回復支援プログラム(埼玉県内)
- 特徴:ゲーム依存症の子どもや若者向けに、専門のカウンセラーがサポートする回復支援プログラムを提供。
- ポイント:オンライン相談が可能な団体もあり、まずは軽い相談から始めることもできる。
更生施設を利用するメリットと注意点
更生施設を利用するメリット
- ゲームから物理的に離れることで、依存行動を断ち切りやすい
- ゲーム以外の楽しみを見つけ、生活リズムを整えられる
- 専門の支援スタッフがいるため、家族だけでは難しい対応が可能
注意点
- 本人の意思がないと、強制的に入れても効果が薄い
- 施設によっては費用がかかるため、事前にしっかり確認が必要
- 退所後に元の生活に戻ったときのフォローアップが重要
「うちの子に更生施設は必要?」と迷う保護者へ
「ゲームをやめさせたいけど、施設に入れるのは大げさすぎるのでは?」と感じる保護者も多いと思います。実際、すべてのゲーム依存症のケースで更生施設が必要なわけではありません。
ただし、以下のような状況が続いている場合は、更生施設や専門の治療プログラムを検討するタイミングかもしれません。
- 学校や仕事にまったく行かなくなった
- 昼夜逆転が続き、生活リズムが崩壊している
- 親が何を言ってもゲームをやめる気配がない
- ゲームのために嘘をつく、暴力的になる、金銭問題が発生している
私自身も、息子たちのゲーム依存に悩んだ経験があります。 そのとき、施設に頼るかどうか真剣に考えましたが、最終的には家庭での対応で回復できる道を選びました。
「施設に預けるしかないのか…」と悩む方もいるかもしれませんが、方法は一つではありません。 そのあたりの経験については、別の記事で詳しく書く予定です。
ゲーム依存症の更生施設は「最終手段」ではなく、「選択肢の一つ」
ゲーム依存症の更生施設は、決して「最終手段」ではなく、本人が回復するための選択肢の一つです。
- まずは病院や相談窓口での対応を検討し、それでも改善が難しい場合に更生施設を考える
- 本人が前向きに治療を受けられる環境を選ぶことが大切
- 施設に入れることを決めた場合でも、親も一緒に依存症について学び、回復をサポートする意識を持つことが重要

ゲーム依存症を治療できる病院【埼玉県】のまとめ
この記事のポイントをまとめました。
- ゲーム依存症の症状とは? → ゲームをやめられない、イライラする、昼夜逆転、成績低下などがサイン。
- 埼玉県でゲーム依存症を治療できる病院はどこ? → 埼玉県立精神医療センターや白峰クリニックなど専門医がいる病院を紹介。
- 中学生にゲーム依存が増えている理由は? → 自由時間の増加、オンラインゲームの影響、ストレス発散の手段になっている。
- ゲーム依存症の治療方法は? → カウンセリング、認知行動療法(CBT)、生活習慣の改善、家族のサポートが必要。
- ゲーム依存症の相談窓口はどこ? → 埼玉県内のメンタルクリニックやNPO、依存症専門機関で相談可能。
- 更生施設は利用すべき? → ゲーム依存専門の更生施設があり、デジタルデトックスや生活リズム改善を支援。
- ゲーム依存症は家庭で改善できる? → 生活ルールを整えたり、親子でコミュニケーションを深めることで改善の可能性あり。
- ゲームをやめさせるための効果的な方法は? → いきなり制限せず、ルールを決めて時間を管理し、代わりの楽しみを見つける。
- 病院に行くべきか迷ったときの判断基準は? → 学校を休みがち、暴力的になる、ゲームのために嘘をつくなどが見られたら要相談。
- 治療すると本当にゲーム依存は治るのか? → 早期治療と正しいサポートで改善可能。家族の協力が回復のカギとなる。
ゲーム依存症は、早めに適切な対応をすることで回復が可能な問題です。 「うちの子は大丈夫だろうか?」と不安に思ったら、まずは一歩踏み出して相談してみることをおすすめします。
関連記事👉文部科学省の教育・啓発活動 文部科学省は、オンラインゲームを含むネット依存傾向の子供たちを対象とした宿泊体験事業や、青少年やその保護者等を対象とした地域での依存症予防教室の支援を実施しています。また、情報モラルに関する指導の充実を図るための教師用資料等を作成し、教育現場での対応を強化しています。
関連記事👉国立病院機構久里浜医療センターの取り組み 国立病院機構久里浜医療センターでは、ネット依存治療研究部門を立ち上げ、ゲーム依存症の専門診療にあたっています。外来診療や入院治療を通じて、生活習慣の確立や集中的な治療プログラムを提供しています。
関連記事👉厚生労働省の普及啓発事業 厚生労働省は、依存症に関する偏見や差別を解消し、適切な治療や支援につなげるための普及啓発事業を実施しています。イベントやSNSを活用した情報発信、特設サイトの開設などを通じて、依存症への理解を深める取り組みを行っています。