私の息子はギフテッドであり、ASD(自閉スペクトラム症)の特性も併せ持ついわゆる、2E(Twice Exceptional)です。診断を受けた当初は、正直不安でいっぱいでした。しかし、特性を理解し、それに合ったサポートを提供することで、息子の可能性が広がることを実感しています。
この記事では、アスペルガー(現在の診断名はASD)とギフテッドの共通点や違い、そして具体的な支援方法について、私の経験を交えながらお伝えします。同じように悩んでいる保護者の方々に少しでも役立つ情報になれば幸いです。
この記事を読むと分かる事
- アスペルガー(ASD)とギフテッドの共通点と違いを具体例を交えて理解できる
- ASDとギフテッドが重なる2Eの特性と課題について知ることができる
- 日常生活や感情面での支援方法と学校や専門家との連携が学べる
- 診断名変更の背景や「アスペルガー症候群」とASDの違いがわかる

アスペルガーとギフテッドの共通点と違い
アスペルガー(ASD)とギフテッドの子どもたちは、知的特徴の共通点として強い集中力や深い探究心を持ちますが、社会性やコミュニケーションの違いが課題になることがあります。また、感情の敏感さとその現れ方にも個人差が見られます。これらの特性を理解した上で、具体的な支援方法を知ることで、日常生活や学びの場で子どもたちの可能性を引き出すサポートができるようになります。
知的特徴の共通点
アスペルガーとギフテッドの子どもたちは、共に強い集中力や特定分野への深い興味を示すことがあります。
- アスペルガーの特徴
息子の場合、あるテーマに興味を持つと、それに関連するすべての情報を収集し、頭に入れることに没頭します。たとえば、歴史に興味を持ったときには、登場人物の年表を細かく覚えるまで調べ尽くしました。この「深堀りする力」はアスペルガーの特徴の一つです。 - ギフテッドの特徴
一方、ギフテッドの子どもは、深い知識を短時間で吸収し、それを柔軟に応用する力があります。息子も、数学や物理のような抽象的な概念を直感的に理解し、実生活にどう使えるかを考え始めることがあります。
以下は知的特徴の比較表です
特徴 | アスペルガー | ギフテッド |
---|---|---|
集中力 | 興味のあるテーマに没頭しやすい | 興味分野が幅広く、多様なテーマに興味を持つ |
学び方 | 論理的に深く掘り下げる | 創造的で柔軟な学び方をする |
応用力 | 細部にこだわる | 全体を見通してアイデアを生み出す |
社会性やコミュニケーションの違い
ここで注目したいのは、社会性や対人スキルの違いです。
- アスペルガーの課題
息子は、他の子どもたちと遊ぶとき、会話のタイミングがつかめなかったり、冗談が理解できなかったりして、孤立してしまうことがありました。アスペルガーの特性として、非言語的なコミュニケーション(表情やジェスチャー)を読み取るのが苦手な場合があります。 - ギフテッドの課題
ギフテッドの場合、知的能力の高さが原因で孤独を感じることがあります。同年代の子どもたちとは話題や興味が合わず、大人と話すほうが楽しいと感じることが多いようです。息子も学校で同級生とは話が合わず、教師や保護者と議論するほうを好む傾向があります。

感情の敏感さとその現れ方
息子の感情の敏感さは、アスペルガーとギフテッド両方の特性に由来していると感じています。小さなことに大きく反応したり、理不尽な出来事に強く反発したりすることがあります。
- アスペルガーの場合
突然の予定変更や予測できない状況に直面すると、不安感が強まり、パニックになることがあります。このような感情の爆発は、息子が心の中で状況を整理できていないために起こります。 - ギフテッドの場合
一方、ギフテッドの子どもは、感情を言葉や行動で強く表現する傾向があります。息子も、社会的な不正や倫理的な問題に敏感で、それについて議論を始めることがよくあります。
アスペルガーとギフテッドの子どもへの具体的な支援方法
息子を育てる中で、さまざまな支援方法を試しました。その中で効果的だった方法をいくつか紹介します。
日常生活のサポート
- 視覚的なスケジュール作り
予定を明確にするために、息子が見ることのできるスケジュール表を作っています。これにより、予定が見通せるので、不安が軽減されるようになりました。 - 自由時間の確保
息子が興味を持った分野に没頭できるよう、自由時間を確保しています。たとえば、彼がプログラミングに興味を持ったときは、関連する教材やキットを提供しました。

感情面のサポート
- 感情の共有
息子が不安を感じたときは、「どう感じているのか」を言葉で共有するように促しています。特に、彼の感情を否定せず、「その気持ちを受け止める」ことを意識しています。 - 心理療法やカウンセリングの利用
専門家のサポートを受けることで、感情をコントロールする技術を学ぶことができました。
学校での対応
- 個別学習プランの導入
学校では、息子の興味分野に応じて特別な教材や課題を取り入れるようお願いしています。また、彼が苦手な課題にはサポートを付けてもらっています。 - 対人スキルの練習
学校でのソーシャルスキルトレーニング(SST)を通じて、息子が友達とよりスムーズに関わる方法を学びました。
専門家との連携
- 発達心理士や教育専門家との相談
定期的に専門家と連絡を取り、息子に最適な支援方法を模索しています。彼らのアドバイスは、私たち家族にとって大きな助けとなっています。 - こちら👉: 日本ギフテッド協会公式サイト
ギフテッド教育に関する信頼できる情報が掲載されています。 - こちら👉: 世界自閉症啓発デー公式ページ
ASDに関する国際的な啓発活動を知ることができます。

アスペルガーとギフテッドの違いのチェックリスト
ASDの子どもに効果的なコミュニケーション方法や社会性と対人スキルの違いを理解することで、子どもの困りごとに気づきやすくなります。さらに、感情の敏感さとストレスの違いを把握し、診断基準の違いを見極めることで誤診を防ぎ、見落としがちなASDとギフテッドのサインに早く気づくことが大切です。
ASDの子どもに効果的なコミュニケーション方法
親が気を付けるポイント
☑ 曖昧な表現を避け、具体的な言葉で伝えていますか?
☑ 急な予定変更があるとき、事前にしっかり説明していますか?
☑ 子どもが不安になりやすい場面を理解していますか?
実践できるサポート方法
🔲 視覚スケジュールを使い、1日の予定を見える形で提示する
🔲 短く簡単な指示を使う:「今は◯◯しようね」「次は◯◯だよ」
🔲 気持ちを代弁する:「怒ってるね」「不安なんだね」と言葉で表現してあげる
🔲 子どもが答えやすいYes/Noの質問を心がける

社会性と対人スキルの違い
親が気を付けるポイント
☑ 子どもが会話のタイミングをつかむのが苦手ではありませんか?
☑ 冗談や比喩が理解できないことがありますか?
☑ 同年代の子どもと話が合わず、大人と話すのを好むことがありますか?
実践できるサポート方法
🔲 対人スキルを練習する機会を作る(ソーシャルスキルトレーニングなど)
🔲 子どもの話を否定せず受け止める「それは面白い考えだね」と共感する
🔲 ギフテッドの子どもには興味に合った話し相手を見つける
🔲 ASDの子どもには、会話のルールを視覚的に示す
感情の敏感さとストレスの違い
親が気を付けるポイント
☑ 子どもが突然の予定変更に強い不安を感じることがありますか?
☑ 社会的不正や倫理的な問題に対して過剰に怒ることがありますか?
☑ 小さなことに強い感情反応を示すことがありますか?
実践できるサポート方法
🔲 感情を言語化して伝える:「イライラしているね」「不安なんだね」と共感する
🔲 感情の爆発を予防するためのルーティンを作る
🔲 ASDの子どもには、予定が変わるときに事前説明する
🔲 ギフテッドの子どもには、社会問題について議論する機会を作る

診断基準の違いを見極める
親が気を付けるポイント
☑ 子どもが「特別なニーズ」を持っている可能性を考えていますか?
☑ ASDとギフテッドの診断基準の違いを理解していますか?
☑ 専門家に相談するとき、具体的なエピソードを伝えていますか?
実践できるサポート方法
🔲 ASDは「社会的障害」、ギフテッドは「知的な特性」であることを理解する
🔲 誤診を防ぐために観察記録を取る(得意と苦手な場面の違いをメモする)
🔲 専門家に具体的な困りごとを伝える「〇〇では困っているが、△△では得意です」と話す
🔲 診断名にこだわらず、子どもの特性に合った支援を優先する
見落としがちなASDとギフテッドのサイン
親が気を付けるポイント
☑ 知的な会話が多いが、社会的なルールを理解するのが苦手ではありませんか?
☑ 感覚過敏のサイン(音、光、匂い)に気付いていますか?
☑ 友達との関係に悩んでいませんか?
実践できるサポート方法
🔲 子どもの興味に合わせた学びの場を提供する
🔲 友達付き合いのコツを一緒に考える
🔲 感覚過敏に対応できる環境を整える(静かな場所、イヤーマフなど)
🔲 学校や専門家と連携して、子どもの特性を理解してもらう
アスペルガーとギフテッドの違いを知りたい保護者の総括
この記事のポイントをまとめてみました。
- アスペルガー(ASD)とギフテッドには共通点と相違点がある
- アスペルガーは社会性やコミュニケーションの課題が特徴的
- ギフテッドは高い知的能力や創造性が特長的
- 両者に共通するのは特定分野への強い集中力
- アスペルガーでは感覚過敏やこだわり行動が目立つ
- ギフテッドは知的孤独を感じることが多い
- 両者が重なる2Eでは支援の難易度が高まる
- アスペルガーは予測できる環境を好む傾向がある
- ギフテッドは挑戦的な課題や自由な学びを好む
- 家庭では視覚的なスケジュールが効果的
- 感情面の支援では共感的な対応が重要
- 学校では個別学習プランが有効
- 専門家の助言を受けることが支援に役立つ
- 診断名の変更により支援の幅が広がった
- 子どもの特性を理解することが支援の第一歩となる