ギフテッドっぽいのにIQは平均域 WISCだけでは見えにくい子供達

ギフテッドっぽいのにIQは平均域 WISCだけでは見えにくい子供達

私はこれまで、ギフテッドや2E傾向のお子さんを育てる多くの保護者の方から相談を受けてきました。

今回ご相談いただいた小学5年生のお話を聞いた時も、私は最初「2E的な特徴や、非同期発達の傾向がかなり強いお子さんだな」と感じていました。理由は、幼少期から見られていた特徴からです。

  • すきな事は驚くほど記憶力が良い
  • 同年代より大人との会話の方が成立しやすい
  • 宇宙、元素などを徹底的に深掘りする
  • 世界平和や命にも敏感
  • 感覚過敏がある
  • 集団生活がかなり苦手
  • マイペースで周囲のスピードに合わせづらい
  • 同年代とのズレ感が強い
  • 完璧主義で癇癪を起こす事がある

など。さらに、小学3年生頃から不登校傾向になり、現在は基本的には家で読書かパソコンに向かって過ごすことが多いとのことでした。

こうした特徴を聞くと、“ギフテッド的特徴”や“2E的な生きづらさ”を感じる方は多いと思います。

目次

でも、WISCの結果は「平均域」だった

ところが、WISCの結果を聞いて、私はかなり混乱しました。

  • 言語理解:116
  • 知覚推理:118
  • 処理速度:88
  • ワーキングメモリ:106
  • 全検査IQ(FSIQ):111

数値だけを見ると、“突出した高IQ”というわけではありません。正直、「え? 全部が平均域?」と感じました。

言語理解と知覚推理は少し高めですが、それでも全ての数字が120以内に入っている。この結果からわかるように、

知的な独特さ」と、「IQ検査で高く数値化されること」は、必ずしも一致しない場合があるということです。

WISCで測れるもの・測りきれないもの

ここは非常に誤解されやすい部分だと思います。一般的には、「高IQ=ギフテッド」と思われやすい。

もちろん、IQ検査は認知特性を理解する上で非常に有用な検査です。ただ一方で、WISCは、

  • 短時間で処理する力
  • 切り替え
  • ワーキングメモリ
  • 作業スピード
  • 指示理解
  • 初対面環境での対応

なども大きく影響します。つまり、

  • 深い知的好奇心
  • 独特な世界観
  • 哲学的な思考
  • 没頭力
  • 特定分野への極端な探究

そのものを直接測る検査ではありません。だから、

「感性や思考は非常に鋭いのに、FSIQだけでは特徴が見えにくい子」がいます。
特に、発達の凸凹が大きい子では、その傾向が起きやすくなります。

「理解できる」と「適応できる」は別

このお子さんの話を聞いていて、私は“能力の高さ”より、“非同期発達”の特徴が強いのだろうと感じました。

理解力はある。でも、

  • 処理速度
  • 集団適応
  • 感覚刺激への耐性
  • 切り替え
  • 実行機能

などに負荷がかかりやすい。知識は深い。でも、集団の中では動けない。

大人びた考え方をする。でも、生活面では幼さや不器用さも残る。つまり、

「能力が均一ではない」のです。これが、周囲には非常に分かりにくい。

学校や放課後等デイサービスなどでも、「どう関わればいいか、どう支援してあげたらいいのか分からない」「このようなお子様は初めてで」と言われてしまうことがあるといいます。

我が家も沢山言われてきたので分かります‥。でも、それはある意味当然なのかもしれません。なぜなら、このタイプの子は、

「賢そうに見えるけど、一般的なやり方では適応しにくい」からです。

理解」と「実行」は別物

支援する側はつい、「理解しているなら、できるはず」と思ってしまいます。

でも実際には、“理解する力”と“実行する力”は別です。頭では分かっている。でも、

  • 切り替え
  • スピード
  • 段取り
  • 感覚刺激への対応
  • 複数同時処理
  • 集団への同時対応

などに大量のエネルギーを使う。だから、実行段階で止まってしまうことがあります。

これは「怠け」ではなく、“脳の処理負荷が高い状態”として理解した方が合うケースもあります。詳しくはこちらの記事で紹介しています→IQ139なのに幼い?ギフテッド児の誤解されやすい特徴を解説

不登校は、単純な甘えや怠慢では語れないケースがあります

このお子さんは、小学3年生頃から不登校傾向になっています。

私はかなり早い段階でエネルギー切れを起こしていた可能性もあるのではないか、と感じました。学校という場所は、

  • 大人数
  • 騒音
  • 集団行動
  • 空気を読む
  • 急な切り替え
  • スピード感
  • 「みんなと同じ」を求められる場面

が毎時間多くあります。こうした環境が、非同期発達や感覚過敏を持つ子にとって、大きな負荷になる場合があります。

しかも、このタイプの子は理解力がある分、「自分だけうまくできない」ことにも気づきやすい。だから、自己否定が強くなりやすいのです。

「PCばかり」は逃避だけとは限らない

家でずっとパソコンに向かっている姿を見ると、親としては不安になります。

  • このままで大丈夫?
  • 中学は?
  • 将来は?
  • 社会に出られる?

そう思うのは当然です。

ただ私は、この子がPCに向かっている時間を、“単なる逃避”だけとは思っていません。むしろ、

「自分でコントロールできる世界に避難している」

側面もあるように感じます。このタイプの子は、リアルの集団社会では疲弊しやすい。でも、

  • 情報収集
  • 技術
  • プログラミング
  • デジタル空間
  • 興味分野の探究

では、安心感を持ちやすいことがあります。もちろん、生活リズムや健康面への配慮は必要です。

ただ、今すぐ「学校復帰だけ」を最優先にすると、自己否定がさらに強くなるケースもあります。特に危険なのは、

「普通になれない自分はダメなんだ」が固定化してしまうことです。

必要なのは「矯正」より「接続」

もちろん、「家でPCだけ」を完全放置すれば良い、という意味ではありません。大切なのは、

“学校だけ”を社会との接点にしないことだと思っています。

このタイプの子は、“雑談”より、“共通テーマ”で繋がる方が得意なことがあります。例えば、

  • プログラミング教室
  • 科学館イベント
  • 博物館
  • 少人数ワークショップ
  • オンラインコミュニティ
  • 技術系コミュニティ
  • 年齢混合の居場所

など。「好き」を入口にした社会接続の方が、長期的に安定しやすい子もいます。

「普通のレール」だけが正解ではない

私は、このタイプのお子さんの将来を考える時、

「一般的な進路だけ」にこだわりすぎなくてもいいと思っています。

もちろん、学校や学歴が助けになる場面もあります。ただ、無理に一般的なルートへ戻そうとして、心が壊れてしまう子もいます。だから、

  • 通信制高校
  • 高卒認定
  • オンライン学習
  • 専門スキル習得
  • IT分野
  • 在宅型の働き方

など、さまざまな道を視野に入れても良いのではないかと思います。今の時代は、「学校適応だけがすべて」ではありません。特に、

  • 一人で深掘りできる
  • 情報収集が好き
  • 技術に没頭できる
  • 好きなことへの集中力が高い

タイプは、専門分野で力を発揮する可能性があります。

ギフテッドっぽいのにIQは平均域 WISCだけでは見えにくい子供達:まとめ

このお子様の本質は、

「非同期発達による生きづらさ」なのだと思っています。困りごとは確かにある。生きづらさもある。

でも、この子にはこの子の“脳の使い方”があり、合う環境があります。今はまだ、その入口を探している途中なのかもしれません。そして、このようなお子様を育てている親御さんは、本当に孤独です。周囲から、

  • 甘やかしている
  • 学校へ行かせない親
  • PCばかりさせている

ように見られてしまうこともあります。でも実際には、親が一番悩み、一番試行錯誤しています。

  • どうするのがこの子にとっていいのか
  • どうしたらもっと世界を広げてあげられるのか
  • どうしたら社会と繋がれるか

を、ずっと考えている。だから私は、このようなお子様を育てている親御さんに伝えたいです。

「普通に戻せない=失敗」ではありません。一般的な育児書の通りにいかない子もいます。

だからこそ、“普通の物差しだけ”で評価しないことが大切なのだと思います。まずは、

  • 心を壊さないこと
  • 自己否定を増やしすぎないこと
  • 安心できる場所を持つこと
  • 「好き」を死なせないこと

そこを土台にしていく。そして、「学校へ戻す」だけではなく、

「この子は、どんな環境なら生きやすいのか」を、一緒に探していく。

それが、この子たちへの支援なのかもしれません。もし家庭だけで抱え込むのが難しい時は、

  • スクールカウンセラー
  • 発達支援
  • フリースクール
  • 居場所支援
  • 医療機関

など、外部の力を借りることも大切です。親だけで背負わなくて大丈夫です。一緒に歩んでいきましょう。

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