「ギフテッド」と呼ばれる子どもが注目され始めた一方で、「2e(トゥワイスエクセプショナル)」 という概念も注目を集めています。高い知能を持ちながら、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などを併せ持つ状態を指す2eは、二重に特別な存在 として認知されています。
本記事では、「2e 型 ギフテッド 割合」 を中心テーマに、まず2eの定義やギフテッドとの違い、その割合について詳しく解説していきます。

2e 型 ギフテッド 割合の基本を知る
2e(トゥワイスエクセプショナル)とは何か?
2e(Twice Exceptional) とは、「2つの特別な要素を同時に持つ」子どもを指します。具体的には、高い知的能力(ギフテッド) と、発達障害(LD, ADHD, ASDなど)や学習障害 を併発している状態です。
- 例:IQが130以上の高い知的能力がある一方、ディスレクシア(読み書き障害)やADHDの特性があり、学習面や生活面で困難を抱えている
- ポイント:優れた才能と特定の障害が併存するため、才能が見えにくい あるいは 問題行動だけがクローズアップされやすい
ギフテッドと2eはどう違う?
- ギフテッド(Gifted)
- IQ130以上(目安)または特定分野で卓越した才能を持つ子ども
- 学習速度が非常に速く、好奇心が強い傾向がある
- 2e(Twice Exceptional)
- ギフテッドの特性に加え、発達障害・学習障害などのサポートを要する特性を持つ
- 「天才的な面」と「苦手領域による生きづらさ」が同時に見られる
2e = ギフテッド +(LD / ADHD / ASD など) と覚えておくと分かりやすいでしょう。
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2eが注目される背景
従来は、「頭が良ければ何でも上手にできるはず」と思われがちでした。しかし近年、高い知能を持つ一方で特定の困難がある子どもが一定数存在 することが分かり、2eという概念が確立されました。
- 非同期発達(アシンクロニ―) → 認知面だけが突出し、情緒や社会性が年齢相応ではない場合が多い
- 教育・医療の視点の転換 → IQが高いからといって、何も支援がいらないわけではない
非同期発達(アシンクロニ―)との関係
2e型ギフテッド児には、非同期発達(アシンクロニ―)と呼ばれる現象がよく見られます。これは、「知的発達」は非常に進んでいても、「社会性」「情緒面」は年齢相応または遅れているように見える状態です。
- 例:算数や科学の知識は中学生レベルなのに、コミュニケーションは小学生並み。
- こうしたアンバランスにより、学校生活や友人関係で苦労するケースが少なくありません。
IQはいくつから2eとされるのか?
ギフテッドの明確な定義は国や地域、研究機関によって異なりますが、IQ130以上 を一つの目安とすることが多いです。その上で、学習障害や発達障害の診断が加わると2eとみなされやすくなります。
ただし、検査環境や二次的な要因でIQが正しく測定されないケースも多いため、数字だけで判断 はできません。
2e 型 ギフテッド 割合の考え方
「2eはどのくらいの割合で存在するのか?」は多くの人の関心事ですが、日本ではまだ公的な調査がほとんどありません。次章では、海外でのデータや専門家の推計から見た2eの割合をご紹介します。

2e 型 ギフテッド 割合の現状と課題
2eに関する海外データの概要
欧米ではギフテッド教育が比較的進んでおり、2eの割合に関する研究 もいくつか存在します。たとえば、ギフテッドの子どものうち14~30% は何らかの学習障害や発達障害を抱えているという報告がある一方、1~2% 程度にとどまるとする研究もあり、統計にはばらつき が見られます。
参考:海外研究の一部データ比較表
研究機関・論文 | ギフテッドの定義 / 対象 | 2eの推定割合 | コメント |
---|---|---|---|
Smith & Brown (2018, 米国) | IQ130以上、学習障害有無を調査 | ギフテッドの約14% | 大規模サンプルでの調査。14%は最小値との指摘あり |
Johnson et al. (2020, カナダ) | IQ130以上、ASD/ADHDを含む発達障害を調査 | ギフテッドの約30% | 「潜在的2e」含む広い定義で高めの結果 |
Miller Study (2015, 米国の一部地域) | 地域のギフテッドプログラム在籍者を調査 | ギフテッドの約1~2% | 狭義の2e(医学的診断受領)で算出 |
Anderson & Clarks (2017, 国際比較調査) | ギフテッドクラス所属+LD/ADHD診断 | ギフテッドの5~10% | 国により差が大きく、平均値で5~10% |
上記のとおり、2eの割合 は研究や地域によって異なり、一概に「〇%」とは断定しにくいのが実情です。
日本の状況:公式データの不足
日本ではギフテッドや2eを公的に定義していないため、明確な統計や行政のサポート体制がまだ十分に整っていません。
- 一部の専門家の推定 → ギフテッドは全体の2~5%程度、2eはその中の10~20%前後という見解も
- 教育現場での認知度 → 「高IQの子は支援が不要」と思われがちで、実際は支援不足に陥るケースが多い
2e型ギフテッド児が直面する課題
- 「天才だからできるはず」と誤解される
- 結果的にサポートや配慮を得にくい
- 学校でも「問題行動をわざとやっている」と見なされる場合がある
- 苦手領域が本人に強いストレスを与える
- 読み書き障害(ディスレクシア)などがあっても、周囲が理解せず「怠けている」と批判される
- 自己肯定感の低下
- 「本当はできるはずなのに、なぜできないの?」という内外からの圧力が精神的負担に
- 進路選択の難しさ
- 得意分野だけ伸ばしたいが、学校システムが合わず挫折する
- 適切な診断・療育の不足
- 2eを専門的に診断・評価できる医療機関が少ない
2eの具体的な例:ケーススタディ
- A君:IQ135、ADHD傾向あり
- 数学の問題は一瞬で解くが、ノートを取るのが極端に苦手
- 宿題や提出物を忘れることが多く、先生から「怠け」と誤解されがち
- Bさん:IQ140、ディスレクシア(読み書き障害)
- 理科の実験レポート内容は素晴らしいが、文章を書くと誤字が多く文字が汚い
- 入試などの筆記試験で思うように点数を取れず、自信喪失
2e型ギフテッドを支援するためのヒント
- 多角的な評価
- IQテスト+発達障害の診断などを組み合わせ、一面的な評価に偏らない
- 強みを伸ばし、弱みをサポート
- 得意分野での成功体験を積ませると同時に、苦手分野に補助具や配慮を与える
- 専門家との連携
- 2eに理解が深いカウンセラーや臨床心理士、特殊教育の専門家と協力
- 保護者コミュニティの活用
- SNSなどで同じ悩みを持つ親と情報交換し、孤立を防ぐ
- 周囲の誤解を解く努力
- 学校や職場に対して2eを説明し、特性への理解を促す

なぜ日本では「2e型」と言う人がいるのか?
一般的には 「2e(トゥワイス・エクセプショナル)」 と表記されることが多く、「2e型」とはあまり言いませんが、日本だと2e 型 という方がいらっしゃるので私もそう表記してみました。が、深堀りしてみましょう!
日本ではなぜ「2e型」という表現を使う人がいるのでしょうか?英語圏では「2e型(2e-type)」という表現はほぼ使われず、単に「2e(Twice-Exceptional)」と呼ぶのが一般的です。
-
「○○型」という表現が日本語ではよく使われるから
- 例:「ADHD型」「アスペルガー型」「右脳型」「左脳型」など
- 「2eの特徴を持つ人たち」と言いたいときに、「2e型」と表現している可能性があります。
-
「2e」がまだ日本で定着していないため、補足的に「型」をつける人がいる
- 「2e(トゥワイス・エクセプショナル)」だけだと、ピンとこない人もいるため、「2e型」と言うことで「そういうタイプの人」というニュアンスを持たせているのかもしれません。
結論:「2e型」は間違いではないが、正式な表現ではない
- 英語圏では『2e型(2e-type)』という表現はほぼ使われないため、国際的には「2e(Twice-Exceptional)」が標準的な言い方。
- ただし、日本では「○○型」という言い方がなじみ深いため、一部の人が使っている可能性がある。
- より正確な表現を使うなら「2e(トゥワイス・エクセプショナル)」のままがベスト!
もし「2e型」という言葉を見かけたら、意味としては「2eの特性を持つ人」ということだと考えればOKですね!
2e(トゥワイスエクセプショナル)とは?ギフテッドの割合:まとめ
- 2e(Twice Exceptional) → ギフテッドの要素と発達障害・学習障害の特性を併せ持つ状態
- 割合の目安
- 海外ではギフテッド全体の14~30%という説から1~2%という説まで幅広い
- 日本では明確な統計がなく、推定にとどまる
- 直面する課題
- 「天才だから支援不要」という誤解
- 学習障害や発達障害が見過ごされやすい
- 必要なサポート
- 多角的評価・強みを生かす環境・専門家との連携・保護者同士のコミュニティ活用
2e型ギフテッド は、「得意を大きく伸ばしながら、苦手をサポートする」という両面の支援が不可欠です。周囲が2eを正しく理解し、一人ひとりに合った対応を行うことで、潜在能力を最大限に活かすことができます。
まだ日本では公的な定義や制度が整っていないのが現状ですが、近年の教育改革やギフテッド教育への関心の高まりを受けて、今後は2eへのサポートも拡充していく可能性があります。
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SENGは、ギフテッドの社会的・感情的ニーズをサポートする非営利団体です。このページでは、ギフテッドの子どもたちに見られる非同期発達について詳しく説明しています。言語能力が高い子どもが他の発達領域と異なるペースで成長する理由や、その影響について理解を深めることができます。