NISA(ニーサ)というのは、「投資で得られる利益をある程度、税金ゼロにできる仕組み」のこと。
たとえば株や投資信託を買って値上がりしたとき、本来なら利益に約20%の税金がかかる。100円儲かったら20円くらいは税金として払うイメージ。
でもNISA口座を使うと、その20円の税金がゼロになるよ、というのが大まかなしくみ。
- 日本の政府や役所が「投資をやってみてほしい」と考えて作った制度
- もともとは年間120万円まで投資できる「一般NISA」と、長期積立用の「つみたてNISA」があった
- 2024年からは「新NISA」が出てきて、投資額の上限も増えた
「税金がゼロになる」というのは一見とても良さそう。だけど、よく見ると「本当に自分に合った制度なの?」「いろいろなウラがあるかも?」って不安になる人が増えてきています。

なんでそんなにNISAをおすすめするの?
「大きなパン屋さん」が余ったパンを売りたい状況
たとえば、アメリカのパン屋さんが超たくさんパンを焼いたとします。売れ残ってしまうと困るからアメリカだけでなく「日本の人にももっとパンを買ってほしい!」と呼びかける。
でも日本では、「パンよりご飯(お米)派だからあまり買わないかも…」という人もいる。そこでアメリカのパン屋さんは、「今ならパンを買ってくれる人にはポイントをあげます!税金も安くなります!」みたいな、お得そうに見える仕組みをつくるわけ。
この「パン」の部分がアメリカの金融商品や株式だと思ってみるといいかもしれない。
日本政府も国民が沢山貯金していることは知っているし、自国の人に投資をしてもらいたいから「NISA」という仕組みを用意して、「みんな投資してね〜!」と呼びかけています。
だけどふと疑問に思わない?「なんでそんなに『買って買って!』と沢山言うの? それって怪しくないの?」って。ここが“ちょっと複雑”な部分なんだよね。
新NISAの罠とは? 本当に大丈夫?
1. 本来の目的と違う投資が増えちゃうかも…
新NISAは「日本人にもっと投資をしてもらい、豊かになってほしい」という名目だけど、実際には「アメリカの経済を支えるための資金が欲しい」とも言われている。
アメリカでは、コロナ禍や色々な要因で政府がお金を大量に刷って経済を回してきたけれど、「これ以上は印刷しにくい」=お金を刷れない現状。お金を沢山印刷すればいいんじゃない?って思うかもしれないけど、勝手にお金を沢山作る事はできないよね。
すると、ほかの国(たとえば日本)からお金を集めて株価を維持したい(パンをこれからも沢山作りたい)とか、国債を買ってほしい(アメリカが貧乏にならないために)と思うわけよね。
2. 日本円をドルに替えて投資する仕組み
NISAで買われる投資信託や株の多くは、アメリカ株やアメリカ市場全体に関連するものが多い。つまり、日本人がコツコツ働いて貯めた日本円をいったんドルや外貨に替えて、海外の会社へ投資する仕組みになっている。
ここで怖いのは、円安やドル高が急に変わった場合だよ。「円がさらに安くなったから、投資した分が増えた」と喜ぶケースもあるけれど、逆に日本が好景気になって円が高くなったときには外貨資産がめちゃくちゃ目減りする可能性もある。
3. アメリカ人は保険や投資を崩している?
実は、最近のアメリカ国内では「老後資金として貯めてたお金を崩している」人がかなり多くでてきた。物価上昇やリストラなど、個人が今の生活費が苦しくなってきたから、将来のための投資よりも、今をしのぐために引き出すという動きが広がっていると言われている。
一方で、日本では「大丈夫、大丈夫、これからもアメリカ株は伸びるよ~!」とおすすめされる。そこには違和感を持たないといけない。
NISAのこと詳しく知りたい方はこちら👉金融庁|NISA特設ページ

新NISAをやめたほうがいい理由は何?
人によっては「新NISAをやらないほうがいい」という意見を持つ場合がある。その代表的な理由は、以下の3つ。
- 元本割れ(投資金額より損する)リスクがある
税金がゼロになるといっても、投資したお金自体が大きく減る可能性がある - アメリカ経済や世界情勢に振り回されやすい
ウクライナ情勢や米国の国債問題などで、株価が暴落するリスクは常に存在する - 引き出すタイミングを間違うと大損
NISAには「一定期間は売っても税金ゼロになる」一方で、急な生活費の都合でタイミング悪く売ると値下がりのまま引き出すはめに。また死後の遺族手続きはとても大変。
もちろんNISAが絶対に悪いわけじゃない。リスクを理解し、無理のない範囲で投資するなら役立つ制度でもある。「積立NISA カモ」というキーワードがあるように、「知らず知らずカモになっていないか?」を常に疑う姿勢が大事。
積立NISAが20年後に暴落したらどうすればいい?
20年後、今とは全然違う世界になっているかもしれない。じゃあ20年後に暴落してしまったら?
- 待つ(ホールドする)
価格が下がっても、将来的にまた上がるかもしれない。長期投資なら「売らずにじっと待つ」という選択肢もある - 少しずつ売却してリスクを分散
20年という長い年月で、一度に全部売るよりも、いくつかのタイミングに分けて売ると大きな損失を避けられることがある - アメリカ以外の資産も持っておく
「全部アメリカ株」が危険なら、ヨーロッパや新興国の株、勿論日本の株、あるいは金(ゴールド)など分散して持っておく手もある
NISA貧乏とはどういうこと?
「NISA貧乏」というのは、NISAに投資したはいいけれど、値下がりしたり生活費が不足したりして損失を抱えたまま資金を動かせない状態を指すことが多いんだ。
一度投資してしまうと、「まだ上がるかも…」「今売ったら損が確定する…」と意地になってしまい、生活が苦しくなるケースも。
- 必要なお金まで投資に回してはいけない
生活防衛資金(半年〜1年分の生活費)は別に確保してから投資しないと、いざという時に“NISA貧乏”に陥りやすい - 値動きを見すぎて心が疲れる
「下がった!上がった!」と一喜一憂して、家族や友人とケンカしてしまう人もいる
- 計算例で言うと、もし年5%で運用できたら5年後はそれなりに増えているかもしれないし、逆にマイナス5%なら大きく減ることになる。
- だから、「絶対に増える」とは限らない。投資の世界には「絶対」がない。そこを誤解していると痛い目にあうこともある。
40代で新NISAに毎月いくら積み立てればよい?
ファイナンシャルプランナーの人たちもよく言うけれど、人によって全然ちがう。たとえば、
- 40代で子供がまだ小さい→これから教育費がかかる
- 40代後半で家のローンが残っている→返済計画次第
- 会社員か自営業かで、将来の年金額も変わる
ざっくり言えば、月の手取り収入の1割程度を目安にする人が多い。
でも、家計がギリギリなのに無理して投資してしまうと、NISA貧乏になるリスクが高いから要注意。
積立NISAで1万円を20年間回すといくら儲かりますか?
これも単純には言えないけど、年3〜5%くらいの利回りでシミュレーションすることが多い。
- 年3%で20年運用すると、約1.8倍になるという計算例がある
- 年5%だと約2.7倍になることも
しかし、これらはあくまでも「ずっと右肩上がりで成長した場合」の話だ。
世界的な大不況や戦争、天災などで一気に下落して、20年後に儲かるどころかマイナスになっているかもしれない。ここが投資の怖さでもあるね。
積立NISAで月1万円は意味ある? 新NISAが危ない理由は?
「月1万円だけなら、そんなに損しても痛くないのでは?」という考え方もあるし、逆に「月1万円程度だと利益が少なくて、続けるモチベーションを失う」という人もいるんだ。
新NISAが危ないと言われる理由の一つは、投資枠が大きくなった分、無理して大金を入れてしまう人が増えそうだから。最初は月1万円だったのに、「もっと増やしたい!」となってリスクを取りすぎる例もあるかもしれない。
つみたてNISAは税務署にバレる? 副業になる?
- つみたてNISAは、副業扱いにはならない
勤務先に副業が禁止されていても、NISAでの投資は普通に認められているケースがほとんど。 - 税務署にバレるか?
そもそもNISA口座は、銀行や証券会社を通じて税務署とも情報共有されている。というより、特別に脱税などをしていなければ何の問題はない。
ただし、NISA以外の口座で大きな売買益があれば、確定申告で申告しないといけないし、そこを隠せばバレることになる。
つみたてNISAで損失が出るのはなぜ?
投資信託が買っている株や債券が下がれば、当然基準価格も下がって損失になる。
どんなに「長期投資が良いよ」と言われても、いつ買っても必ず上がるわけじゃない。リーマンショックやコロナショックのように、大きく市場全体が下がると積立NISAもマイナスを抱えることは十分ありえる。
アメリカの金利とドル印刷問題
アメリカはここ数年で大幅に金利を引き上げている。金利は、お金を借りるときにつく“レンタル料”みたいなもの。
- 金利を上げると「お金が借りにくくなる→景気が悪くなる」といった副作用がある
- 金利が高いと「ドルを持っていると得する!」と考える人が増える→ドルが強くなる(円が弱くなる)傾向になる
ただし、アメリカ政府がこの先も無限にお金を刷り続けるのは難しい。インフレ(物価上昇)が激しくなると国民生活が苦しくなり、政治的にも大問題。そこで「日本からもお金が集まれば、アメリカは助かるかも」と言われている。
内閣府 経済財政分析|NISA制度の検証👉 NISA口座数の推移が気になる人はこちら
NISAのメリットとデメリットを比較【引き出すとき】
投資は「買ったら終わり」じゃなくて、いつ売るか、どのタイミングで引き出すかがすごく大事。ここが失敗する人が多いポイントです。

1. メリット:非課税をフル活用できる
- 利益が非課税
通常、約20%引かれてしまう税金がNISA期間中はゼロ。このメリットは大きい。 - 長期で持つほど複利効果が期待できる
もらった利益をさらに再投資して増やしていくことで、“雪だるま式”に資産が増える可能性がある。
2. デメリット:思わぬタイミングで手放さなきゃいけないかも
- 生活費が足りなくなったら売らざるを得ない
事故や病気など予想していなかった急な出費が必要になり、やむを得ず値下がりした時期に売ってしまい、大損する可能性も - NISA期間を過ぎたら自動的に一般口座や特定口座へ移管
その際に評価額が下がっていたら損を確定させる形になることもある - 円安・円高の影響
ドルベースで利益が出ていても、円高に振れると日本円に換えたときの価値が減ってしまう。
新NISA・積立NISAの危ない理由とは?解説のまとめ
- リスクを理解して、必要以上のお金を投資しない
生活費や緊急予備資金はしっかり確保した上で、あまった分だけNISAや投資に回すことが大切 - 世界経済の流れを鵜呑みにせず、自分で調べる
アメリカの景気がいいのか悪いのか、ドルがどうなっているのか、常に情報収集が必要。株価はニュースで上下に左右されやすいので金利がどうなっているのかを見るのが大事! - 出口戦略を考えてから始めよう
「いつ、どんな理由で売るのか?」を最初にある程度決めておけば、予期せぬ暴落や緊急出費にも冷静に対応できる
投資は「お金をもっと増やせるかも!」という魅力がある反面、「思っていたより減ってしまう」という怖さもある。
とくにNISAのように「税金がゼロになるよ!」と言われると、つい飛びつきたくなるけど、それはあくまで利益が出た場合の話。
「なんでアメリカの人は投資を崩しているのに、日本人には投資をおすすめしてくるの?」と疑問を持つこと自体が、損をしないための最初の一歩。
- 新NISA・積立NISAは便利な制度に見えるけれど、背景にはアメリカの経済事情や日本人のお金を海外に流したい狙いがあるかも。
- アメリカでは生活苦から保険や投資を取り崩す人が出てきているのに、日本では逆に「今こそ投資しよう!」と煽られている。その違和感を見逃さないようにしよう。
- 投資で大事なのは「自分で考えてリスクを把握すること」と「絶対に無理をしないこと」。NISAだろうがどんな投資だろうが、リスクゼロはあり得ない。
「NISA=税金ゼロでお得!」という単純な話ではない。
もし疑問が出てきたら、また一緒に学びましょう。投資も勉強も、疑問を持つことから始まる。